筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

なぜ痛みが治らないの?

厚生労働省の国民の生活基礎調査を見ますと、様々な症状の中でも「腰痛」と「肩こり」は常に1位か2位を占め、全国民の20%~30%の方がこれらの症状で悩んでいる事が分かります。

この事を背景として、TVをつければ「消炎鎮痛剤」のCMがしょっちゅう流れていますし、健康情報番組では「腰痛対策」「肩こり対策」がよく取り上げられています。また、街を歩けば「指圧」「マッサージ」「整体」「カイロプラクティック」などの看板をよく見ます。

医療機関をはじめ、痛み治療を行っている所は数多くありますし、薬剤も手軽にどこでも手にはいるのに、なぜこんなに多くの人が「痛み」や「凝り」で悩み、しかもいつまでも治らない人が多いのでしょうか?それには次の3つの要因が関わっていると思います。

  1. パソコン作業など「姿勢筋」を酷使する仕事が増えてきた。
  2. 交通機関の整備、駅でのエスカレーター完備など身体を動かす機会が減った。
  3. 現在の「痛み医療」に間違いがある。

 パソコン作業など「姿勢筋」を酷使する仕事が増えてきた。

「姿勢筋」というのは文字通り姿勢を保つための筋肉で「抗重力筋」とも 言われます。私たちは地球の重力の元で生活していますので、その重力に逆らって姿勢を保つ為の筋「抗重力筋=姿勢筋」の働きが欠かせません。主な姿勢筋は次の通りです。

  • 身体の前面:前脛骨筋、大腿四頭筋、腸腰筋、腹筋群、頚部屈筋群
  • 身体の後面:下腿三頭筋(ひらめ筋、腓腹筋)、ハムストリングス、大臀筋、脊柱起立筋群

パソコン作業は坐位で行いますので、脚の筋はあまり働かなくなりますし、姿勢を重力に従った状態に保つと、脊柱を支える筋群への負荷も減ります。じっと立っているのは5分でもつらく感じますが、坐位では1時間でもそうつらくないのはその為です。

しかし、パソコン作業ではモニターを見つめますし、特に細かい作業をしたり、意識を集中しますと上半身が前に傾き、頭が前に突き出す姿勢になってしまうことが多いものです。そうなりますと姿勢を保つ為の筋の緊張は大きくなります。 

交通機関の整備、駅でのエスカレーター完備など身体を動かす機会が減った。

 現代人は戦前の方に比べると、身体を使う事が1/50になったと言われます。交通機関が整備され、駅などではエスカレーターやエレベータが設置され、洗濯、掃除は電化され、家事労働はかなり軽減されています。

歩くことや階段を上り下りすること、また家事労働が軽減された事によって、私たちはじっと立っている時間、座っている時間が増えて来ています。ここでも姿勢筋が酷使され、逆に身体を動かすことによって得られる筋の掃除効果が減っています。 

現在の「痛み医療」に間違いがある。

 「なぜ痛みが治らないのか?」という問いに対しての答えとしては、「現在の痛み医療に間違いがある」という点が最も大きな問題だと思っています。なぜなら、私たちには「治癒力」がありますので、事故やケガなどで生じた筋のトラブルは、時間の経過と共に治って行きます。

ぎっくり腰やひどい捻挫などをした場合は痛みも強いしなかなか治りにくいので、医療機関や代替医療に受診をする事になりますが、そこで適切な治療がなされれば、痛みは早期に解決するはずのものです。

ところが、現在の痛み医療は「原因の捉え方」を間違えており、また症状が治りにくくなったり、増強することに関わる「心理社会的要因」を軽視していますので、早期に解決するはずの痛みがなかなか治らなくなってしまいます。

筋のトラブルはその周囲の筋や、その筋に関係している、皮膚、内臓機能、骨膜、運動機能などに影響が出始め、それが次々と拡がって行きます。そして痛みが慢性化するだけでなく、気分障害など全身性の不調をもたらして行くことになります。

では現代の痛み医療は痛みの原因をどのように取り違えているのでしょうか?

次の項ではこの点をご説明したいと思います。

次ページ:治りにくい原因に目を向ける。