新型インフルエンザへのワクチン接種の是非について、元国立公衆衛生院 疫学部感染症室長の母里啓子氏が書かれました、 「インフルエンザ・ワクチンは打たないで! 」 の概要をご紹介します。
概要
- インフルエンザ・ウィルスそのものが、効果のあるワクチンを作れない性質を持っている。インフルエンザ・ウィルスは人に感染しながら、絶えず形を変えるウィルスである。このようなウィルスに効果のあるワクチンを作ろうとすることが、そもそも非常に無理がある。
- 実際に患者からインフルエンザ・ウィルスを採って調べてみると、そのシーズン用のワクチンを作る元となったウィルスと、実際に流行しているウィルスがかけ離れていることが多い。インフルエンザ・ウィルスがものすごいスピードで変異しているからだ。
- 前橋市医師会が行った『前橋レポート』(1987年)といわれる調査で、インフルエンザ・ワクチンの集団接種をしている地域としていない地域とで、インフルエンザの流行の大きさに差がないことがはっきり証明されている。
- これまでの調査で明らかなのは、インフルエンザ脳症はインフルエンザ・ウィルスが原因ではなく、解熱剤やタミフルといった薬剤の関与が疑われているケースが多い。
- 高齢者はインフルエンザを恐れなくてもいい。高齢者の場合、嚥下障害によって気管に雑菌が入り込み、肺炎を起こす事が多く、70歳以上ではこの原因が最も多い。
- インフルエンザ・ウィルスに自然に感染すると、体は抗体を作る。この抗体が同じ型のインフルエンザ・ウィルスにかからないようブロックする。抗体が作られる場所は、のどや鼻の粘膜と血液中の二つ。インフルエンザに自然感染して免疫が働くのは、のどや鼻にインフルエンザ・ウィルスがついても、そこで追い払ってくれる。ところが、インフルエンザ・ワクチンを打っても、のどや鼻では抗体は作られない。血液中に抗体を作ることはできるが、インフルエンザ・ウィルスが血液から感染することはない。
- インフルエンザに自然感染すると、…確実に強固な免疫力がつく。