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「近くて遠い国」

渡部昇一、呉善花の対談「近くて遠い国でいい、日本と韓国」を読んだ。不勉強の私には初めて知ることも少なからずあり、またかねての疑問が氷解し納得することも多々あった。
 
その一つが、今日の反日感情は、日韓併合により明治四十三年~昭和二十年の間、日本の支配下におかれた屈辱感によるものであろうとは理解できるとしても、長年中国の属国として隷属してきた歴史があるのに、どうも中国に対する反感はないのだろうかという疑問である。
渡部氏の「明から清に代わるとき、韓国は明についたので清国から徹底的にやられ、屈辱的な関係を強いられている。日本も日本語の使用を強制するなどしているが、同時に莫大に金を使ってインフラを整備するなど韓国の近代化のために力を尽くしている。これに対して清国は韓国から奪うことを国の方針として続けている。それなのに清国は恨まず、日本だけを恨むというのはどうしてでしょう。」という問いに対して、呉善花氏は次のように説明している。
 
「韓国人の心理では、中国、韓国、日本の関係は、中国が父親、韓国が兄、日本は弟。だから父親はいくら悪いことをしてもやはり父親として尊敬に値するが、弟が悪いことをしたのは許せない。兄が不遇をかこっていれば、弟はそれを助けなければならない、ということでしょう。」
儒教の教えが今なお韓国民の考えの底にあるということらしい。韓国民は、日本にも儒教を伝えたのだから、日本も当然そのように考えるべきだと思っているということのようである。
 
こう見てくると、今日の国際政治の構図では、中国と日米韓の対立となっているが、同盟国として韓国は100%信頼できるのだろうかと思われる。
折しも飯島内閣参与の北朝鮮訪問が、米中韓各国に衝撃的に伝えられている。どうも今年は国際政治に何らかの変化があるのではと気になるところである。
 
 (平成二十五年五月十五日)
 

ramtha / 2013年9月9日