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「日本と中国とイスラム世界」

トルコではエルドアン首相のイスラム教回帰政策に対する国民の反発が大規模なデモとなり、ここ数日、毎日のように伝えられている。
 
無宗教で不勉強な私には、宗教について語る資格は無いが、カトリックとプロテスタントの相違もさることながら、イスラム教となると一層分かり難い。私自身は、近頃酒は飲まなくなったものの、禁酒が庶民生活に持ち込まれるというのは、如何なものかと思われる。
アルコール依存症による家庭崩壊や犯罪などに至らないまでも、一夜の酒で身を誤ることもしばしば耳にする、などと考えるとイスラムの禁酒に賛同する人々も少なくないに違いない。
しかし、酒を無くしてしまった社会は、思うだに殺伐きわまりない。外国のことはいざ知らず、わが国では、商談をはじめ、よろず難しい相談事も、酒席を共にすることで円く納まることが少なくない。イスラム原理主義の世界では、意思疎通する手段が他に何かあるのだろうか。
 
今ひとつ分かり難いのが女性差別である。その一つ、女性の顔面を覆うスカーフの着用は、聞くところによると、宗教的戒律もさることながら、アラブ諸国では年中砂嵐が舞い上がり、その被害から目や皮膚など人体を護る目的もあるというから、フランスのように特に問題視することもないかとも思われる。
 
しかし、対人関係では、表情がその意思を表現する重要な要素となることからすれば、スカーフで顔を覆うことを強制するのはやはり納得し難い。まして女子教育不要論に至っては、まことに理解し難い。
 
ヒンズー教のインドとイスラム教のパキスタンとは、既に紛争を繰り返しているが、信者の数では最大と言われるイスラム教社会と非イスラム社会との摩擦は今後も増加するものと思われる。
 
神社・仏閣・教会の併存する日本は宗教にはまことに寛容な国だから、イスラム社会と宗教的対立の可能性はないことだろうが、禁酒や女性差別というようなこととなれば、難しい事態に遭遇することもあるかも知れない。
 
中国は共産党の一党独裁体制で、建前としては信教の自由を保障することとしているようだが、チベットではラマ教が弾圧され、ダライ・ラマはインドに亡命している。
目下のところはイスラム諸国とは平穏な関係にあるように見えるが、新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒と漢民族との間で、経済的格差や生活習慣を巡ってトラブルが頻発しているようで、いずれ衝突は避けられないのではないかと思われる。
 
トルコ国民の大半はイスラム教信者であるが、政教分離を国是とし、地理的にも東西の掛橋的存在として発展してきている。また近年EUへ接近し、EU加盟が当面の課題となっている。西側諸国からはイスラムの優等生とも見られて来たので、今回の大規模なデモは世界の注目を集めているようである。
 
トルコはかねて親日国家として知られて来たこともあり、日本が平和的解決に役立つ事は無いものかと思われるが如何なものであろう。
 
世界第二の経済大国となった中国と並んで、アラブの春以来イスラム社会が世界的ニュースとして取り上げられることが多くなってきた。
顧みると、二十世紀はアメリカとソ連を主役とする世界であったが、二十一世紀は中国とイスラムが主役となるように思われるがどうだろう。
 
日本人にはイスラムは馴染みが少なく、中国とは尖閣列島問題を抱えている有様で、外交上多難な未来が予想される。イスラムと中国に対する冷静な対応と不断の研究が格別必要なことと思われる。
 
(平成二十五年六月十五日)
 

ramtha / 2013年11月13日