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「漢字を捨てた韓国」

かつては文字を持たなかった日本が、今日では世界をリードする科学技術を有するような文明国になったのは、二千年ばかり前の大昔から朝鮮半島を経由して、中国大陸の漢字文化を手に入れることができたのが、大きな要因の一つである。

明治維新後、欧米の知識や学問を取り入れ、短期間でそのレベルに追いつき追い越せるまでになったのは、明治・大正の先輩達の努力の賜物で有る事は間違いない。

と同時に、今一つ彼らの偉大な功績は、西洋の用語を翻訳して新しい漢字熟語を創ったことにある。
漢字はアルファベットと異なり表意文字であるから、「抽象」や「具体」といった、当時としては目新しい漢語でも、「抽象」は象(かたち)から抽(ぬ)き出した目に見えないもの、「具体」は逆に、体(かたち)を具(そな)えた目に見えるものであろうなど、基礎的な漢字の知識があれば、素人でも、その意味するところを朧気(おぼろげ)ながら推測することが出来た。これによって、日本では英語など外国語が読めなくても、その翻訳されたもので、容易に理解することができた。そのおかげで国民全体の知識水準が著しく向上したものと考えられる。

これに対して韓国では、「日本語の科学が世界を変える(松尾義之著)」を見ると、ハングル優先で漢字を捨ててしまったために、同音異義語が区別しきれなくなり、重要な知識や概念を失うだけでなく、厳密な議論もできなくなった。折角、漢字用語に基づく科学知識体系を、中国と共に明治期の日本からまるごと輸入したのに、実にもったいないことをしたものであると述べている。

しかし同書は次のようにも述べている。
「日本も韓国を笑えない部分がある。なぜなら、歴史を振り返ってみると、日本語や漢字を捨てることになったかもしれない危ない暴論や、怪しげな著名人による妄論が、たびたび顔を出しているからである。(森有礼や尾崎行雄による英語国語論、志賀直哉によるフランス語国語論など)こういう議論があった事を忘れてはいけない」

こうしてみると、日本が韓国と同じ過ちをしなかったのは、誠に幸いなことであったと言わねばならないが、考えてみると、それは単なる幸運によるものというより、国民一般の識字率が高く、漢字が日常生活の中に深く根を下ろしていたことにあったと言うべきではあるまいか。

(平成二十七年五月五日)

ramtha / 2015年7月30日