今朝の毎日新聞の投書欄で、「交流を支える日本人の心」と題する一文に出会った。東京都在住の団体役員伊藤英朗氏によるものであるが、風に揺れる新緑の大樹を見る爽やかさを感じたので転記する
1993年、国際協力機構(JICA)の招きで一人のインドネシア人のハンセン病専門の医師が、日本に勉強に来ました。
彼は電車に乗ると必ずカバンを網棚に置きます。ところが一年間の滞在中に三回もカバンを忘れ電車を降りてしまいました。中には大切なパスポートやお金が入っていました。幸いなことに三回とも無事に彼のもとにカバンは戻りました。彼は日本人の心の美しさに感動し、日本が大好きになりました。おかげで私たちが取り組んでいるインドネシアのハンセン病対策の資金援助は、大変効率よく進めることができました。
今年四月同じインドネシア人医師が来日しました。また、彼は甲府駅のホームのベンチにカメラを忘れてきました。これもJRと警察の連携で無事に戻ってきました。彼は美しい日本人の心にメロメロです。国際交流も平和も、名も知れない心の美しい方々が、支えてくださっていることを痛感しました。
最近のニュースでは、オレオレ詐欺やカッパライなど嘆かわしい事件を毎日のように聞かされている中で、久しぶりに「まだまだ日本人の倫理観は捨てたものでは無い」と意を強くしたが、すぐにこれから先いつまで大丈夫なのか気になるのは、年寄りの杞憂なのだろうか。
(平成二十七年五月二十二日)
ramtha / 2015年10月9日