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「中華街政策」

今日の毎日新聞の「経済観測」欄には「隣国でも違う中国の見方」と題する大竹健一郎氏の次のような一文が掲載されている。

ベトナムの友人が言った。「日本は中国が主導するアジアインフラ銀行(AIIB)に参加しないというが、それは一つの卓見だ。AIIBの真の狙いは中国人の輸出にあると思う。中国経済は貧富格差の拡大による厳しい時期に差し掛かっている。そこで地方の貧しい人たちを海外の公共事業に送り出そうとしているのだ。」

アフリカでは中国が援助と銘打った公共インフラ建設事業で、工事が完成した後も中国人労働者が定住し、中国人街を作っている。現地で経済的に成功すると中国から家族、親族を呼び寄せるという。こんな話を、私は昨年アフリカ某国の日本大使館関係者からも聞いた。

ベトナムの友人が続ける。「中国にとって、国家とは領土では無い。世界各国の中華街はいわば中国の飛び地だ。ベトナムでは中華街は絶対につくらせない」

ベトナムは、AIIDの創立メンバーの一国でありながら、隣国の中国とはかつて中越戦争を戦い、現在も南シナ海の南沙諸島を巡って領有権を争っている。一方で経済的結びつきは強まっている。
「現在、世界中にある中華街の大半は福建省出身の人たちだが、新しく作られる中華街は中国各地からの貧しい人々によるものになるだろう。中国に於ける貧困者対策にもなるし、新たなる世界戦略も隠されているかも知れない」
友人の口調は激しさを増していくばかりだった。

日本では、AIIDは米国主導の開発金融システムに対するチャレンジだとか、中国の公共インフラ建設が一段落したので公共事業の担い手企業のための需要づくりだとか言われるが、巨大な隣国の存在を持て余す国の中には、全く違う見方をする人もいるのである。

AIIDについては、私もここに書かれているベトナム人と同じように考えていたが、これを見てやはりそうかと思った。この構想は、アメリカ包囲網と国内不満分子を意識した、習近平の一挙両得作戦と思われるが、果たして彼の思い通りに展開して行くか今後が見ものである。

(平成二十七年六月二十日)

ramtha / 2015年12月3日