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「イスラム国」

「平成二十六年 九月十六日」
 
 このところ連日のようにマスコミに取り上げられているものの一つにシリアとイラクに股がって猛威を振るっているイスラム国がある。その実態はよく分からぬもののイスラム原理主義の中でも最も過激な集団のようである。自らの主義思想に従わぬものはたちどころに虐殺するという残虐窮まりない行為を繰り返しているようである。アラブの春以来不安定な状態にある中東を舞台に活動しているが、一部報道によればかつてのイラク・フセイン政権の軍人や官僚など現在のシーア派主体の政権から締め出された有能な人材が多数参加しており、作戦立案、資金調達や行政政治にしても、単なるテロ集団よりはるかに優れた能力を有しており侮りがたいものがあるという。
 
 今回のイスラム国は、9・11事件以来アメリカがテロ撲滅を目的として行なってきたアフガニスタン侵攻以来の軍事行動の結果出現した現像のように思われる。
 平成一三年のいわゆる9・11同時多発テロ事件を受けて当時のブッシュ政権が同年十月八日、アフガニスタン侵攻して以来、平成十五年三月、米英両国によるイラク攻撃で、フセイン政権を打倒、イスラム教シーア派主体の内閣を樹立したが、国内の紛争は治まらずアフガニスタンと同様不安定な状態が続いている。
 
 冷戦後アメリカは世界の警察官を自認し、民主主義による自国の政治経済体制を最高のものと信じ、いわゆるアメリカンスタイルを他国に押してつけては、反感を買って居る。アメリカの軍事力に依存している日本や韓国でも、伝統的風習と著しく異なるものについては、表だって反対はしないまでも、一部には不快感が燻っていることも絶無とはいえない。
 
 老骨の私にはイスラム教のことは分かり辛いが、ことさらに欧米の自由主義文化とは融合しがたいものが多々あるように思われる。まして女性の社会進出を認めないなどの戒律を厳守するイスラム原理主義との共存には、極めて困難な障害があるように思われる。
 だからといって武力に頼るのはその反感を刺激するばかりで問題の解決を遠ざけるばかりである。
 しかし当面イスラム国の勢力拡大に苦しむ人々を放置しておくわけには行かない。
 国際社会は未曽有の難問に遭遇したものである。ウクライナや南支那海で領土争いなどしているときではないが、プーチンや習近平にも目を醒まして欲しいものだ。
 

ramtha / 2014年12月27日