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「売買春合法化論議」

最近戦時中の慰安婦問題が日韓国交の障害となっているが、一昨日の毎日新聞には「アムネスティ売買春の合法化支持」という見出しで、次のような記事を掲載していた。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が、売買春の合法化を支持する方針を決定した。性労働者の人権保護につながると言う趣旨だが、反対派からは「(人権団体としての)信用性に傷がついた」と批判の声が上がっている。

アイルランドのダブリンで11日に開かれたアムネスティ総会には、70カ国から約400人の代表が出席。売買春のほか、売春斡旋、売春宿の形を含む「合意の下での性労働に関わる行為」について、全面的に合法化すべきだとする決議を、賛成多数で採択した。シェティ事務局長は「性労働者は世界で最も軽視された職業集団であり、差別と暴力、虐待の危険に常にさらされている」とし、合法化を目指す意義を強調した。

世界中に700万人の会員支持者を有し、国際的発言力を持つアムネスティの今回の動きに対しては、他の人権団体や女性団体から非難が殺到。米国拠点のNGO「女性の売買反対連合会」は総会に先立ち「搾取される者を守るために搾取する側を合法化するのは筋が通らない」と批判する公開書簡を出し、米女優メリル・ストリープさん、英女優ケイト・ウィンストレットさんら多数の有名人も署名した。

売買春をめぐる対応は各国で異なるが、欧州を中心に合法化に踏み切った国は少なくない。トムソン・ロイターのまとめによれば、オランダやドイツ、ニュージーランドで性産業は合法。スエーデン、カナダなどでは、売春婦は罰せられないが、客に禁固刑などが課せられる。

日本では1956年(昭和31年)売春防止法が制定されて、いわゆる公娼制度はなくなり、表向きは売春婦は存在しなくなった。私は欧米先進国ではとっくの昔に売春行為は禁止されていたと思い込んでいたので、これを見ていささか驚いた。
昔から「人類のある限り酒と戦争と売春はなくならない」と言われていたことを思い出した。

また、売春防止法反対論者の中には、遊郭をなくすと性犯罪が増える。良家の婦女子を守るために遊郭は必要だとするものもあったが、その因果関係は必ずしも立証できるものではないとも言われていた。
ただ、性病蔓延を防止する上では、遊郭所属の娼婦に対する定期検診が一定の効果を上げていたものと思われる。その点今日の性病は目に見えないところで、広く蔓延しているのではと気になるが、当時より抗生物質など医薬品も格段の進歩をしているから、さほど憂慮することもないのかもしれない。

それにしても、ドイツやオランダなど欧州先進国で公娼制度があり、ドイツでは売春婦に所得税を課税しているとも聞くと、白人の徹底したリアリズムには驚く他は無い。

(平成二十七年八月二十日)

ramtha / 2016年1月23日