先頃、アメリカ・カリフォルニアで大きな山火事の映像が放映されていた。消防車が多数駆けつけて放水しているが、火は拡大するばかりで、手がつけられない。さすが広大なアメリカ、山火事のスケールも日本とは大違いだと痛感した。
すると、先日の毎日新聞に、日中友好協会会長・丹羽宇一郎氏が、「カリフォルニアの記録的大旱魃」と題するコラムを乗せておられる。詳細な解説で、その莫大な被害に驚くとともに、最近の異常気象と合わせて地球の将来が危惧される資料として書き留めることとする。
日本ではあまり話題となっていないが、米カリフォルニア州は2011年より危機的な水不足に直面している。同州農業にとって水は「ブルーゴールド」と呼ばれるほどの貴重品であり、その利権は州政府や農業団体等の民間組織も保有している。同州が渇水対策のために設立した「水銀行」では、水資源の取引が行われているほどだ。
13年の大旱魃は、ミネソタ大学などの調査によると「過去1200年間で最悪のレベル」だった。同州内の湖水や貯水池の水位、水源になっているシエラネバダ山脈の残雪量が平常の20~25%にまで減っていると言う報道もある。
カリフォルニア大学デービス校による旱魃の経済的影響の調査では、27億4千万ドル(約3288億円)の損失と、約1万1千人の農業従事者の失業を引き起こすという。住民に対して、節水を求めるのはもちろんだが、芝生への水撒きを制限するなどの措置も出始めている。
人口約3800万人の同州では年間984億トンの水を消費している。これは日本全体の830億トンを上回っており、いかに同州の農業規模が大きなものかを物語る。野菜やフルーツの米国でのシェアは50%以上であり、レタス、セロリなど8~9割を占めるものもある。また日本はカリフォルニア州から輸入する農産物は約15億ドル(約1800億円、13年)にのぼる。同州産のアーモンドの世界シェアが約8割であるなど、旱魃で同州農業に赤信号が灯れば、米国の食卓だけでなく世界の食品市場に大きな衝撃を与えるおそれがある。
同時にそれは、大規模化や工業的な生産性を追い求めてきた現代の農業や、食品流通網など世界の食品産業のあり方への問題提起になる可能性がある。
今年の夏、西日本では雨が少なく、東日本では先月の鬼怒川堤防の決壊による大水害や度重なる豪雨や竜巻など異常気象が発生している。
これらを考え合わせると、いまや地球の自然状態は一大変化期を迎えているのではと思われてくる。聞くところによれば、地球はこれまでも氷河期と間氷期を幾度も繰り返してきたと言う。
さらに二十世紀に入ってからは、人口の爆発的増加とエネルギー消費の増加により、地球温暖化が世界的問題として度々取り上げられている。
前者は人間の力では、如何ともし難いことかも知れないが、せめて地球温暖化については、先進国と発展途上国、それぞれの言い分もあることだろうが、なんとか国際協力によって改善できないものかと思うことしきりである。
(平成二十七年十月十二日)
ramtha / 2016年2月14日