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「きな臭くなってきた世界」

先日の毎日新聞にインターネット・イニシアティブ会長の鈴木孝一氏が「変化する世界政治のテーマ」と題する次のようなコラムを書かれていた。

ロシアのプーチン大統領が、厳しい経済状況下、シリアへの空爆を開始した。反体制派を攻撃して、アサド政権を支える戦略である。中国経済の減速下、習近平国家主席は軍事力を持つ超大国としての存在を誇示する戦略を実行に移している。世界政治は経済が中心課題だった局面から、軍事的な緊張を伴った局面に転換している気がするのは、素人の見方に過ぎないことを願うばかりである。

先日からバンコクに来ている。「タイは緩衝地帯といった感じで、南シナ海の南沙諸島の問題については、緊張感もない」。現地でこんな声をよく聞く。しかし、アジアだけでなく途上国を回ると、中国の巨額な無償援助によるインフラ整備案件が目につく。「中身を精査すると、植民地を目指しているとしか思えない」という指摘を、援助受けている国の当事者から聞く事も多い。

政府開発援助(ODA)で支援したかつての日本と違い、中国は巨大な軍事力への投資と資金力を背景に、単なる経済大国では無い軍事力を兼ね備えた大国を目指している。遅れてきた帝国主義と言える行動にならざるを得ないのかも知れない。

中国の海洋戦略は、関係諸国が領有権を主張する南シナ海での人工島建設と基地化である。尖閣諸島どころか、沖縄も中国が管轄する地域として視野に入っている。

米オバマ政権はこれまで、中国の海洋戦略を把握してながら、静観してきてといってもいい。ここに至って国際法を守るとして、南沙諸島での人工島から12海里(約22キロ)の海域内に米海軍のイージス艦を航行させた。米中共に自制しながらの緊張関係となるのだろうが、ひたすら大国を目指す中国への今後の対応は、予想以上に難しいのではないかと思う。

習近平国家主席の登場以来、中国の目覚ましい躍進ぶりに、目を奪われている感じがするが、見回せば、シリアでの内乱を巡る米国とロシアの対立、イスラエル、パレスチナの殺戮の応酬、残酷非道な行動を繰り返す「イスラム国」など、世界各地で血腥い毎日が続いている。

戦後七十年、日本は幸いにして日米安全保障条約に守られて、今日までこと無く過ごしてきた。しかし、鈴木氏が指摘するように、最近とみにきな臭くなってきた。

顧みると第一次世界大戦(1914~18年)終了から、第二次世界大戦(1939~45年)勃発までわずか二十一年である。

戦後七十年、第三次大戦が起こらないのは珍しい記録ではある。核抑止力によるものかも知れないが、米国を始め、ロシア、中国、イギリス、フランス、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮など、現在核を保有すると言われている国は少なくない。

どこの誰が核のボタンを押すか、不気味な時代ではある。こんな時代だからこそ、「平和の国日本」は、世界に「人類の幸せは非戦にある」ことを喧伝すべきものと考えるがどうだろう。
(平成二十七年十一月二日)

ramtha / 2016年2月19日