今朝の毎日新聞には東短リサーチ・チーフエコノミスト加藤出氏が「ミレニアル世代戦略 対照的な日米」と題する次のようなコラムを寄せている。
「助けて!うちの親はミレニアル世代なの」。米タイム誌10月26日号の表紙で、乳母車に乗って幼児がそう叫んでいる。ミレニアル世代とは、1980年から2000年生まれのことだ。親になり始め、かつ消費の中心的世代にもなってきた彼らは、近年米国で大きな関心を呼んでいる。
彼らは上の世代と感性が大きく異なっており、「異星人」のように見られている。特集記事は、ミレニアル世代は、子供にユニークな名前をつけたがり、子供の写真をソーシャルメディアに載せたがると紹介していた。
ミレニアル世代の米国人数人と議論したが、彼らは既存のマスメディアや広告を信用しない(テレビを持たない人が多い)。むしろ、個人が書きこむソーシャルメディアの情報を高く評価する。自動車は実用上必要があれば購入するが、いい車で見栄を張るという発想は無い。
しかし、多くの米企業は、この気難しいミレニアル世代の消費嗜好を捕まえようと必死に戦略を練り、投資を行っている。なぜなら、人口が巨大だからだ。米国で過去最大と言われたベビーブーマー(1946~64年生まれ)は7500万人だが、ミレニアル世代は9100万人と12%も多い。
日本で同じ年齢層の人口を比較すると、ミレニアル世代は15%も少ない。このため、日本企業は若い世代を狙った投資に消極的だ。米企業がミレニアル世代向け商品の開発に投資しているのと好対照である。日米ともに中央銀行は近年大胆な金融緩和策を行ってきた。
しかし日本のように人口が減る経済では、金利が低くても投資は伸びにくい事が痛感される。
これを見ての感想を整理してみる。
① この頃の若い親たちが、子供に珍しい名前をつけるのに驚いていたが、これを見て、日本だけのことでは無いことを教えられた。日本では、近頃、既存の常識では読めない漢字の名前が氾濫して、孫の名前を覚えるのに苦労している年寄りも少なくないのではと思っていたが、ユニークな名前をつけるのは日本だけではないとすると、何か分からないものの、その要因に世界的・時代的な人間社会の変化があるのかと思われたりする。
② 「既存のマスメディアや広告を信用しない」と言うのは老骨の私にも共感するところがある。ことにテレビのコマーシャルなど、毎日嫌と言うほど見せつけられると、薬や健康食品などその効果が疑わしく感じられてくる。今まで貧乏人の僻みかと反省したりもしていたが、米国の若い世代にも同様な人たちがいると知って、私だけではないと意を強くした。
③ アメリカの若い世代は人口が増えているのに、日本の若い世代は減少傾向にある事は、改めてこの国の将来が憂慮される。
見回すと、結婚適齢期の独身者がやたらと目につく。労働者の四割近くも派遣社員がいるようでは結婚して家庭を持つこともできない。これでは日本は先細りするばかりだ。
安倍さんの「一億総活躍」と言う掛け声は勇ましいが、まずは勤労者の懐を豊かにすることが肝要だ。伝えられているところでは経団連など産業界にも働きかけてはいるようだが、一時的な働きかけに終わることなく、地道に粘り強く持続的努力をしてもらいたい。企業経営者も派遣社員ばかりに頼っていては、会社を支える技術者もやがては枯渇することになる。
自分の在任中の成績さえよければと言うサラリーマン社長では、いずれ会社は衰退する。
会社は株主のものというのが資本主義の原則なのだろうが、株価の高騰を待って売り抜け、さよならする株主は会社の真の所有者とは言いがたい。会社では、その企業活動に参加し、その持続と発展に貢献する経営者と従業員が主役である。だから経営者と従業員が働き甲斐のある会社にすることが肝要で、政府はその体制作りを支援することが重要と考える。
(平成二十七年十一月二十七日)
ramtha / 2016年2月28日