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「大気汚染を気にすると息苦しい」

近頃は大気汚染だの地球温暖化など環境問題がニュースに取り上げられることが多い。ことにNHK北九州放送局のテレビでは、毎日午後六時前のニュースでPM2.5の観測結果を放映している。北九州の大気汚染の原因は、偏西風によって運ばれて来る中国の大気汚染がその大部分と聞いているので、私はその値の上がり下がりを注目している。以前は平均濃度が三十台で最高濃度は四十台以上と言う日が多かったが、十月後半からその数値が低くなっている。

例年ならば、寒くなる冬には中国の家庭では暖房用に石炭を使用するから、それは当然のことと受け止めていた。それが、今年は冬になろうと言うこの時期に下がってきている。目覚ましい勢いで成長してきた中国経済に陰りが出てきたと伝えられているようだから、その影響かなと考えたりしていた。そんな時、毎日新聞で「中・印で高濃度メタン」と言う見出しをつけた次のような小さな記事を見つけた。

環境省と国立環境研究所は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」で天然ガスの採掘や家畜のげっぷから出るメタンを観測し、中国やインドの都市で人為起源のメタン濃度が高かったと発表した。
2009年(平成21年)6月から2012年(平成24年)12月までに観測したデータを使い、湿地や森林火災等の影響を除き、天然ガスの採掘や家畜動物、焼畑や埋め立てゴミから出る人為起源のメタン濃度を推定した。人口密度が高く、農業や工業が盛んな中国の成都や重慶のメタン濃度は最大81ppb(1ppbは10億分の1)、インドのコルカタは同54ppbと周囲よりも高かった。米国のニューヨークは22ppb、ロサンゼルスは34ppbだった。

これを読んで考えたことなどを書きとめてみる。

① 人間は呼吸によって、外気から酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出する。メタンは最も簡単な炭化水素だから当然人間の呼気に含まれている。従って人口の多い所の大気にはメタンも大量に放出されていることになる。

世界中の総人口七四億人のうち、中国が十三億あまり、インドはこれに迫ると言うから、これまた十三億近くいることになる。という事は、中国とインドに世界の三分の一の人が住んでいることになる。これだけでも中国とインドの大気中のメタンが多量にあると想像される。

② 日本は少子高齢化で人口は減少傾向にあると言うが、アメリカやアフリカでは、まだまだ人口は増加し、近い将来、世界的食料不足の時代が来るという説もある。そうすると、人間が放出するメタンも年々増加し大気汚染を加速することになる。大正生まれの老骨は無為に呼吸しているに過ぎない。これではメタンガスを放出するだけで百害あって一利なしと言うことになる。そんなことを考えていると、息苦しくなってくる。

③ 先ごろ小惑星(竜宮)に向けて探査機「かぐや」が打ち上げられた報道を耳にした。しかし、その他日本では気象観測衛星通信衛星などを上げていることを知っていたものの、こんな温室効果ガス観測にまで人工衛星を上げているとは知らなかった。

不勉強な私が知らないだけで、このほかにも様々な人工衛星を使っているのかも知れない。また、アメリカや中国ではお互いの軍事施設を探査する衛星等も使っていることだろう。今、世界各国が上げている人工衛星はどれだけあるのだろう。数え切れないほどあるに違いない。宇宙は広いと言うものの、お互いに衝突することなどないのだろうか。国際会議などで宇宙空間の交通ルールを話し合わなくても大丈夫なのだろうか。ずぶの素人には、そんなことも気に掛かる。

(平成二十七年十二月三日)

ramtha / 2016年3月18日