昨日に続いて「日本人はどこから来たのか?」を読み興味ある部分を書き留める。
現生人類のアフリカ起源説によれば、ホモ・サピエンスはアフリカの旧人から進化して、世界へ広がったのであって、我々はユーラシアにいた北京原人やジャワ原人やネアンデルタール人の子孫ではない。1980年代末に始まった論争の末に、現在ではこの説が正しいと認められるようになったのだが、その根拠は以下のように要約できる。
1)遺伝学的証拠:世界中の現代人のDNAを比較すると、その共通祖先は20万年前頃のアフリカにたどれる。例えば北京原人はそれより古い約75万~40万年前のアジアにいたので、この結果は北京原人が我々の祖先という考えと相容れない。
2)化石形態学的証拠:現代人と同様のかたちをした人類の頭骨化石がアフリカでは20万~15万年前の古い地層から見つかっているが、そういうものがヨーロッパやアジアで見つかるのは5万年前より後のことである。5万年前以前のユーラシアで見つかるのは。原人、旧人の化石である。
3)考古学的証拠:考古学で、「現代人的行動」と呼ばれる一連の先進的行動がある(アクセサリーの使用など)。アフリカではそれが10万~7万年前の遺跡に明確に現れているが、アジアやヨーロッパで顕在化するのは、やはり5万年前より後のことである。
つまり、遺伝学・化石形態学・考古学の主要3分野が、全て同じ結論を示しているのである。
逆に考えても、アフリカ起源説は支持される。対抗馬だった「多地域進化説」では、北京原人もジャワ原人もネアンデルタール人も絶滅せず、それぞれの地域で現代人に進化したと考えた。かつては多くの教科書にも記されていたこの仮説だが、今では大きな問題があることが認識されている。もしこの仮説通りなら、各地域にいた様々な古代型人類集団から、異なる経緯をたどって、ホモ・サピエンスという単一の種がどうやって進化するのかという難問にぶちあたってしまう。世界各地の現代人集団は遺伝子の共通性が高いのだが、地域ごとに現生人類への進化が起こったという多地域説のシナリオでは、この事実の説明がつかないのである。
これを見て教えられたことなど記しておく。
① 古代の地球上には猿人・原人・旧人など様々な人類が出現し絶滅して行ったということだが、その中で今日世界各地で生存している人類の祖先ホモ・サピエンスだけが生き残ったということは、絶滅した原人や旧人より頭脳が発達し、環境に適応する能力を備えていたということだろう。
② それにしても、今日地上に存在する人類は、白人も黒人も黄色人種も、全て同じホモ・サピエンスであるとは知らなかった。祖先を同じくする者同士が、世界各地で毎日のように争い殺し合っている居るとはおぞましいかぎりではないか。野性の鳥獣でも、時に例外はあるにしても、同類相食む姿は珍しい。人間は鳥獣にも劣ると言われてもしかたがない。
ramtha / 2016年5月22日