今日の毎日新聞では「生徒四九三人に異状」の見出しで中国の地下水汚染事件について次のように伝えている。
中国江蘇省常州市の中高一貫校、常州外国語学校の生徒多数に工場跡地の汚染が原因と見られる皮膚炎や血液異状なとの症状が広がっている。生徒の保護者が十八日、毎日新聞記者に「クラスの半数に皮膚のただれなどの症状が出ている」と証言した。
中国中央テレビによると、病院で診断を受けた生徒六四一人のうち四九三人に皮膚炎や白血病のような血液の異状がみつかった。同校は昨年九月の新校舎移転後、北側校舎を中心に吐き気やめまいなどを訴える生徒が続出。中学一年生の母親(四三)は取材に「校舎移転を政府に求めたが、かたくなに拒否された」と語った。
保護者らによると、北側校舎の約百メートル北では二〇一〇年ごろまで三つの化学工場が稼動。業者が不法に地中に埋めるなどした有毒物質による土壌や地下水の汚染が影響している可能性がある。
今年一月には一部保護者らが校門前などで抗議し、武装警官が出動する騒ぎになった。常州市当局は三月上旬に学校敷地で土壌や水質の検査を実施して問題ないと説明。だが、環境保護省と江蘇省が十七日に合同チームを発足させ調査を姶めた。
これを見ると思い出されるのが一九五三(昭和二八)年~五九(昭和三四)年に熊本県水俣市で発生した水俣病事件である。工場廃液による有機水銀に汚染した魚介類を食したことにより集団的に発生。被害者の治療と損害賠償に国の支援を巻き込む大事件となり、未だにその被害者の認定を巡る訴訟が続いている。
この種事件では、事故発生時に加害者企業が事故原因の隠蔽に拘わり、結果的に被害者の拡大を招き、ひいては問題の解決をより難しくするのが常である。
広大な地域を有する中国のことだから、同種の事件は他にも少なからずあるものと考えられるし、日本の場合と同様、あるいはそれ以上に加害者が事故原因の隠蔽に奔走し、問題の解決を困難にすることと想われる。
中国政府はこの種の公害問題で今後五十年、いや百年以上も悩まされることになるのではなかろうか。
ramtha / 2016年6月30日