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五月三日 「伴奏者を失う時」

今朝の毎日新聞のコラム発信箱には、エルサレム支局駐在の大治朋子記者の「伴走者を失う時」と題して次のような記事が載っていた。

米国には、総人口(約三億人)の1~2%を占めるユダヤ人社会がある。米議会のユダヤ系議員は全議席の約5%。政財界の有力者も多く、昨年の米誌長者番付では、トップ50人のうち二割がユダヤ系であった。そのユダヤ人社会で異変が起きている。過去半世紀にわたり最有力組織とされてきた保守系ロビー団体「米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」が、イスラエルの占領政策などを批判する若手のロビー団体「Jストリート」に押されている。

米ノースイースタン大学のドプ・ワクスマン教授は、話題の近著「トラブル・イン・ザ・トライブ(族内の難題)イスラエルをめぐる米ユダヤ人の紛争」で、「イスラエル」は米ユダヤ人社会を団結させるキーワードだったが、昨今は「分断を促す存在」になっていると指摘する。

ユダヤ系の富豪は1999年から、米国在住のユダヤ系青年ら40万人以上にイスラエルを訪ね、歴史や価値観を学ぶ機会を提供してきた。米国の若者の「ユダヤ人らしさ」維持のためだが、最近の若者はむしろ、そのツアーを機に現地で占領の実態を調べ、イスラエルの現右派政権に反発。リベラル色を強めるきっかけにもなっているという。イスラエルの最大の軍事支援国が米国であることは今も変わりはない。だがオバマ米大統領はその路線を維持しながら、中東の石油への依存度低下を背景に、外交の軸足をアジアへと移している。

世代交代に伴う米ユダヤ人社会の変容と、米外交戦略の転換。新たな大統領が誰になろうとも、この潮流はもはや止められないだろう。米国という強力な伴走者を失えば、イスラエルもまた、変わらざるを得なくなる。

イスラエルは、世界中に分散していたユダヤ人が第二次世界大戦後、祖先発祥の地パレスチナ南部に建設した国家であり、先住民のパレスチナに侵略して、しばしばトラブルとなっているなどは、承知していたものの、不勉強な私は、それ以外何も知らなかった。そこで手元の広辞苑をひろげて関係する語句について見たら、次のように説明されている。

イスラエル=(ヘブライは「神が支配する」の意)
① 旧約聖書に見えるヤコブとその後裔である十二部族の総称。パレスチナの南東方荒れ地に起こり、前千数百年頃エジプトに居住していた人々で、モーゼに導かれてエジプトを出、カナンの地に至り、前1012年頃サウルによってイスラエル王国を建設、前926年北のイスラエル王国と南のユダ王国とに分裂。イスラエルは前722年に、ユダは前586年に滅亡、バビロン捕囚の体験を経てイスラエルの宗教はユダヤ教として発展。

② シオニズム運動の結果パレスチナに流入したユダヤ人が1948年イギリスの委任統治終了とともに建設した共和国。この国家の存在とパレスチナ国家建設の可否が、中東紛争の中で焦点となってきた。首都はエルサレム(国際的には未承認)公用語はヘブライ語とアラビア語。面積二万一千平方km。人口は555万人。

パレスチナ=(ギリシャ語の「ペリシテ人」の地から)西アジアの地中海南東岸の地方。カナンとも称し、聖書に見える物語の舞台。第一次大戦後、オスマン帝国からイギリス委任統治領。以後、シオニズムによるユダヤ移民が進展。1948年イスラエル独立とともにイスラエルとヨルダンに分割されたが、67年イスラエルはヨルダン川西岸地域とガザ地区を占領。パレスチナ人による国家建設運動も盛ん。

シオン=エルサレム市街の丘の名前。ダヴィデ王の墓がある。転じてエルサレムの雅名。シオニズム運動の象徴。

シオニズム=パレスチナにユダヤ人国家を建設しようとする運動。19世紀末ヘルツルらの主導の下に興起し、1948年イスラエル国家を実現。

ヨルダン=

① 西アジア、パレスチナにある川。シリアのヘルモン山の西斜面に発源、南流して死海に注ぐ。長さ約320km。イエスがここで洗礼をうけた。

② アラビア半島北西部の王国。第一次大戦後、オスマン帝国領からイギリス委任統治領、1923年トランスーヨルダン首長国となり、46年独立。48年ヨルダン川西岸地域を併合し、翌年ヨルダン・ハシrlミット王国と改称。67年中東戦争後、イスラエルが西岸地域を占領。住民は主にイスラム教徒で、アラビア語を使用。面積9万8千平方km。人口535万人。首都アンマン。

これを見るとユダヤ人は今なお旧約聖書の選民思想に固執し、現代の国際常識を無視し、米国の後ろ楯を力に周辺国に侵略するなど横暴を極めている。それが大治記者の記事のような現象となっているとすれば、大きな変化であり、中東の治安にとっても世界の平和にとっても喜ばしいことである。しかし、何千年来信奉して来た彼らの考えが、そうたやすく変わるものとも思えない。しばらくは様子を注意深く見守るしかないだろう。

ramtha / 2016年7月2日