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八月二十三日 「EU離脱後のイギリス」

イギリスが欧州連合(EU)から離脱の国民投票をしてから二ヵ月が経過した。その後どうなることか憂慮されていたが、今日の毎日新聞では、ロンドン大学経済政治学院のトーマスーサンプソン准教授の「英国経済の現状と今後の見通し」について、次のような見解を載せている。

国民投票の結果が英国経済に与える影響を判断するのは時期尚早だが、ここまでの指標は悪影響があることを示している。今後数ヶ月でかなりの部分が見えてくるはずだ。先行き不透明感から企業が投資や雇用を抑制する動きは既に出始めており。今後二~三年で企業は雇用を国外に移し始めるだろう。この影響は、英EU間の自由貿易がどこまで維持されるかがカギになる。英国の政治家は移民の制限を望んでおり(ヒト、モノ、カネ、サービスが自由に移動できる)単一市場から離脱する可能性は高い。問題は新たな貿易協定がモノだけなのかサーピスや労働力を含むのか。制限が多いほど経済的に打撃となる。

我々の悲観シナリオでは、貿易の制限で長期的に国民所得が六・三~九・五%、一家計当たりの所得が最大六千四百ボンド(約八三万二千円)減ると予測している。日本企業などの国際的企業は、離脱後の複数のシナリオに備えた危機対応プランが必要だ。
イングランド銀行の金融緩和は適切だが、金利は既にゼロに近く、離脱の打撃を和らげる効果は限定的だ。今は低金利を生かし、政府は借金してでも財政出動による景気刺激に踏み切るべき時だ。EUとの交渉方針を早期に明らかにして不透明感を減らすことも、政治には求められる。

イギリスのEU離脱については、これまでに「イギリス、国民投票EU離脱を選ぶ」「英国EU離脱に関して」「国民投票は是か非か」と三度も取り上げ、英国人らしからぬ軽はずみな国民投票が、EUとの関係を悪化させ、引いては英国経済に影を落とすのではないかと憂慮したところであるが、このトーマス准教授の見解を見ると、まさにその足取りは暗い方に向かっているようである。

遠いイギリスのことと、高見の見物としておられないのが、今日のグローバル世界で、いずれはアベノミクスの足を引っ張ることとなるに違いない。

さらには四年後の東京オリンピックも、大きな負担となることと思われる。オリンピック委員会に、いまさら返上できないというのであれば、東京都と言わず、政府と言わず、全国民挙げて、その成功に努力しなければならない。それを思うと、当面政治家の責任はきわめて重大なもののものと覚悟しなければなるまい。

ramtha / 2016年9月13日