筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

四、函館から松前へ

再びバスで函館駅前に戻り、昼食後、駅前バスターミナル十二時五七分発、松前行き特急パスに乗車、松前に向かう。幸い雨は上がり、晴れ間も見えてきた。

パスは函館湾を左に見て西へと走る。日本セメント上磯工場の煙突が並ぶ上破町を抜けると、パスは南へ向かい、海岸沿いにJR江差線と並行して進む。

当別(とうべつ)を過ぎた頃、右手にトラピスト修道院への道標が見られた。函館の修道院は女性の修道院として有名だが、こちらは男性の修道院のようである。

木古内(きこない)の駅前でトイレ休憩をした後、パスはさらに南下する。天気は次第に好転し、左手の車窓からは明るい津怪海峡の海が見える。

知内(しりうち)、福島を通り過ぎる。たしかこの辺りで、JR津軽海峡線は北海道に上陸しているはずだが、よく分からない。

やがて白神トンネル・赤石トンネルを抜けると、北海道最南端の白神岬に至る。晴れた日には海を挟んで津軽半鳥の竜飛(たっぴ)岬が見える筈だ。

今でこそ、人々は津軽海峡トンネルを通る列車で本州との間を簡単に往来できるが、その昔、本土から蝦夷松前へ渡った人々は、この岸辺に立って、望郷の思いに幾度となく、ため息をついたことだろう。

間も無く、松前町に入り、パス停大沢で下車。パス停と道をはさんで向かい側の民宿『はまぺ』へ。事前に松前観光協会に紹介してもらった宿だが、大沢は来てみると松前町の東の入り口で、松前の中心部からは程遠いようだ。波の音が聞こえる海岸端のひなぴた民宿で、シーズンには釣り人が多く利用する宿のようである。

夕食までの時間、宿の回りを歩いてみる。バスの走る海岸ぞいの単調な道が続くのみ。その道を挟んで人家が疎らにあるが、山手の人家の裏は小高い丘が続き、内地では見かけない様な大きな葉をつけた蔓草の類が、自由気ままに生い茂っている。

しばらく歩いていると、大沢の次のバス停にきた。ここでは小綺麗な小屋造りの待合室がある。この海岸沿いの道は、今は爽やかなまことに心地よいところだが、冬は厳しい海風に哂されるのだろう。

宿に戻ると、食堂に呼ばれる。
夕食を共にする宿泊客は、私たち夫婦の他に富山から来たという男性が一人。彼は最近年金生活に入ったとかで、目下、ようやく手に入れた時間を利用して旅行を楽しんでいる模様。私たちと同様、格安の飛行機で函館に来たとか、後はレンタカーで北海道を巡るのだそうだ。
新鮮な魚尽くしの夕食の後は、津軽海峡の波音を聞きながら、北海道二日目の眠りについた。

ramtha / 2016年10月27日