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十月二十日 「農業が砂漠を作ることがある」

今朝の毎日新聞の「経済観測」には、第一生命経済研究所の特別顧問・松元崇氏の「豊葦原の瑞穂の国」と題する次のようなコラムが載っていた。教えられることがあったので、忘れぬようにその要点を転記する。

(前略)実は我が国くらい農業に適した国は少ない。世界のほとんどの地域では農業は環境破壊的である。農業のために灌漑(カンガイ)をすると、雨が少ない地域では水分は空中に蒸発するばかりで、土中の塩分が表面に出てきてしまって砂漠化するからである。その代表例が、かつての四大文明発祥の地の一つだったメソポタミア。チグリス、ユーフラテス川からの灌漑で、肥沃(ヒヨク)な三日月と呼ばれた農業地帯を形成したが、長年のうちに砂漠化してしまった。

それに対して我が国は、四方を海に囲まれ、四季を通じて適度な雨が降るために、全国どこでも地下水が流れて天然の排水系が完備している。どこも、土中の塩分で砂漠化する心配など無縁である。適度に灌漑をして耕地整理をすれば、超一流の農地が出来上がる。そんな日本では、農業は自然に優しい。日本は「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の国」なのである。

メリットを生かして適地適作をしていけば、日本の農業の国際競争力は強いはずである。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)といえども恐れるに足らずだ。ところが、いかんせん肥料や農機具の値段が高いといった問題がある。農協改革が必要とされるゆえんである。我が国農業農村の明るい未来のためにしっかりとした対応を期待したい。

これを見て教えられたこと、考えさせられたこと、改めて疑問になったことなど書き留める。

① 日本は全国各地とも、年中湿度が高く、農業に適しているということだろうが、今年の降雨量は多すぎるのではないか。地球温暖化による現象との話しも聞くが、それが真実なら、将来が心配だ。「日照りに飢饉無し」と言われるのも、かねて降雨量が多すぎる傾向を裏書きする諺ではないか。

② 中国では樹木を伐採して燃料とするため、毎年西から砂漠が拡大していると聞いたことがあるが、今ではどうなっているのだろう。韓国も長年製鉄用の燃料として、樹木を使用したため、禿山ばかりとなったというが、植林はしなかったのだろうか。
日本では尾張徳川家をはじめ、各藩で伐採の後は植林を義務づけたとか言われているが、今日、鳥取砂丘以外に砂漠らしきものを見ないのは、絶えず植林をしてきた先祖の働きによるもので、その恩恵を享受しているわれわれ子孫は、ご先祖様の労苦に感謝せずばなるまい。

③ しかし、最近では夏場の大都市では、水不足がしばしば騒がれている。一人当たりの水の使用料が昔とは比べものにならないくらい増えている。工場での水使用量もさることながら、自家用車の洗車と水洗トイレが最大の原因ではと思われる。

地球温暖化による夏の温度上昇や、公共交通機関の合理化を考えると、自家用車は増えこそすれ、減ることはない。今後の水消費の更なる増加を思えば、海水・淡水化のコスト削減はもとより、個人の節水啓蒙と水の再利用、再々利用まで知恵を絞る必要がある。

③ 最近は、我が家の周辺にも、後継者不足のためか放棄された農地が少なからず存在する。農業に無縁な私は一頃騒がれた減反政策がその後どうなっているか知らないが、いまだに兼業農家まで保護する政策が続いているとすれば、農政担当者の怠慢と言われても仕方がない。

④ 筆者も書いておられるが、独占企業といわれる農協の抜本的改革がなされなければならないが、一頃マスコミで騒がれていたものの、その後どうなったのだろう。

ramtha / 2016年12月17日