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十月二十四日「衆議院選挙に思う」

続 折々の想い

老後の暇潰しに、その時々の事件や話題についての感想を「折々の想い」と題して書とめて来たが、もうそろそろ寿命かと思い、筆を折ることにした。
しかし、悪運が強いというか、運が悪いと言うか、なお生き長らえて来た。
そうなると、また暇潰しを探さなければならないが、ワープロのキーを叩く以外、芸の無い身は、またぞろワープロの前に座ることになった。

平成二十九年十月二十四日

「大義無き解散」と言われ、『野党分裂による与党の「敵失勝利」と評価された今回の衆議院選挙は、事前に吹き荒れた小池百合子の「希望の党旋風」も、彼女の入党者選別の発言で忽ち萎(しぼ)み、結果は与党の三分の一議席を獲得したに過ぎなかった。また、小池女史に排除された民進党議員の議員集団である枝野新党の「拾い物躍進」という結果に終わった』。

今回の解散総選挙について、考えさせられたことなど書きとめておくこととする。

①今回の選挙は、安倍総理の友人が経営する加計学院・森本学院の便宜供与が問題とされ、厚生文化省の役人が、総理の気持ちを「忖度」した行為が、総理の汚職につながるという事件として、マスコミに騒がれ、これを隠蔽(いんぺい)するためと報じられている。

②安倍さんが、事件当初、その友人を未知の人と抗弁したことが、マスコミの報道に油を注ぎ、問題を大きくしたのでないかと、私は感じている。

当初、安倍さんがその友人を友人と認めて、その上でその友人が、安倍さんの名前を利用したということを、知らなかったとすれば、それだけで、終わったのではないか。それを安倍さんの強気の性格が、問題を難しくしたように思われるが、どうだろう。まして時間が経過すれば、国民の関心は薄れることを期待してという印象を醸(かも)したようだが、これは国民を愚弄するものと受け取られ、大失敗だったと思われる。

③小池旋風は、彼女の巧みなパフォーマンスをマスコミが煽(あお)つたことによるもので、彼女の言動や政策には、その主義主張は、何も語られていない。彼女に一貫したものがあるとすれば、普通の日本人女性には無い強い自己顕示欲だけではないか。

④そもそも東京オリンピックーパラリンピックを控えた東京都知事・一期目の彼女が、国政を目指したのは何故か。私には理解に苦しむところである。何が彼女を動かしたのか、どうも分からない。

⑤民進党の女性議員が、妻子ある男性との不倫が取り沙汰されていたが、今回の選挙では、相手候補を僅差ながら破り、勝利したと伝えられた。これでマスコミも、多少は男女格差の観念から解放されたのかと、感じた。

有名人は別として、男の浮気はニュースにもならないが、今度のことで、男女平等がようやくマスコミの世界に、認められたことになる。

⑥それにしても、日本のマスコミは、候補者の政策・理念はそっちのけで、つまらないゴシップばかりを取り上げるのだろう。娯楽本意の週刊誌の類はともかく、天下の木鐸(ぼくたく)をもって自ら任じる全国紙が情けないではないか。

日本の一流紙は日本人ばかりではなくり世界の人が見ていることを忘れてはいないか。

(注)木鐸=木製の舌のある鉄でできた鈴。中国で、法令などを人民に知らせる時に用いた。このことから、比喩的に、世人を覚醒させ教え導く人をいう。

⑦昨日今日の新聞を見ると、全国の市区町村の候補者別の得票数を事細かに報じている。
こんな数字は各候補者とその選挙事務所以外、誰も期待しているとは思われないが、どうだろう。こんなことより、選挙の結果を分けた大きな要因はどこにあったのかについて、各選挙区を担当する各紙の地方版毎に、それぞれの見解を述べてもらいたい。

⑧新聞を見ていると、時に事実を報道するのみで、その善悪・可否を論じない態度を見せる場合と、新聞社自体が自らの意見を述べる場合がある。社説は別として、一般の記事については、その態度を明らかにしてほしいと思うのは、私だけだろうか。

ramtha / 2018年3月31日