アメリカ疼痛管理学会会員で、線維性筋痛研究財団の研究部長のJohn C. Lowe博士によると、線維筋痛症や慢性疲労症候群の根底に甲状腺機能低下症があるという。
線維筋痛症は、全身性の筋肉の痛みと疲労、そして睡眠障害が特徴で痛みが非常に強く、仕事はもちろん、日常生活もままならなくなる疾患。
Lowe博士によると、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が正常範囲内にあっても、甲状腺機能低下症の可能性があり、その事が線維筋痛症の痛みを含め、さまざま愁訴に関連している可能性があるという。
その為Lowe博士は、甲状腺疾患の診断に関しては、現在定められている「正常範囲」の数値だけにとらわれず、T3欠乏やTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)検査などもっと幅広く、全体的に甲状腺機能低下症の評価しなければならないとしている。
多くの甲状腺機能低下症患者では、甲状腺ホルモンに対する細胞の抵抗があることがわかり、これらの患者のほとんどはT4の補充だけではあまり効果なく、T3の補充を行う必要がある。従って患者にT4だけを投与することは一切止めているとの事。
日本で行われている甲状腺機能低下症の検査では正常値とされる場合が多く、筋痛や慢性疲労で苦しんでいる方々が、甲状腺機能低下症にあるという診断はついていないと思われる。まして、T3の補充療法はほとんど行われていないだろう。
一日でも早く、筋痛や慢性疲労と甲状腺機能低下症との関連が関係医療機関で認識されるようになって頂きたいものだ。
ramtha / 2010年3月30日