器質的な障害が無いにも関わらず続く慢性痛や、原因不明の全身性の痛みが続く繊維筋痛症などの中には、「痛み」「不安」「恐怖」などにとらわれて、痛みを増加させたり、痛みから抜け出せなくなっている可能性がある。
回路を変化させるには関心の焦点を移す事が重要。※内省とは、正面切って自分と向かい合い自分を客観視する事
間をおかずに繰り返し観察すると量子の属性がフリーズし、永遠にその状態になるか、少なくとも放っておいたよりもずっと長くその状態にとどまり続ける。
→ある考えに集注するとその考えから離れられなくなる。
→OCD患者が強迫観念よりも健康的な行動を選び続ける事で、病気の根底にある神経回路が変化している可能性がある。
患者さんの中には、実際には疼痛が緩和する時間帯があっても「痛くて何もできない」と訴えて寛解傾向を自覚できない場合が少なくない。
「ずっと痛んでいる」「完全に痛みがとれない」という完全主義的な認識や“all or none”式の認識をもつ人もいる。また、「痛いのはどんどん増悪しているからだ」という極端な思い込みや先入観が目立つ人もいる。このように痛みが絶望的なものとして捉えられることで、痛みへの不安や恐れが生じ、身体を動かすことを回避するようになる。この回避行動が続くことで筋萎縮や関節拘縮をきたし、二次的な痛みの原因になり痛みが増幅する。
Vlaeyenらはこのような悪循環の形成が疼痛の遷延する病態であると指摘した。こうした場合、認知行動療法の適応といわれる。苦痛を軽減させたり、よリ良い対処行動をとることができるようになることを目標として、疼痛に対する認知や対処行動の不適切な部分を修正して行くことも治療の大切な要素である。
「動作法」を開発した成瀬悟作先生は、寝たきりの脳性小児麻痺の患者の治療を通して、重力と姿勢と心の関係を次のように述べている。
姿勢のふしぎ (ブルーバックス) より・・・
それまで寝たきりだった子が一人でお座りできたその直後からその子は大変化を遂げ、それまで幼く弱々しかった表情やしぐさがしっかりと生き生きしたものに変わります。そしてその後の心身の成長もまた驚くほど急速になって行きます。
地球の重力との関係の中で自分の身体を適切に位置づける事は極めて大切な事だと思われます。その意味でタテ系の動作を改善することが最も重要です。
立位は物理、生理、生物、心理の総合的統合の表現として重要な課題であり、立位の姿勢が逸脱して歪んでいるというのは、まさに生活体験上の悩みや困難、生活の努力の偏り、心理的な安定性、対人、対社会的な心構えや態度などに様々な問題があることを示しています。(後略)
地球の重力下で過ごす我々が、重力に適応した姿勢を保つことは重要な事であり、この姿勢を偏らせる原因として「心」の重要性を説いているのである。確かに心が沈むとうな垂れた姿勢になり、ワクワクと夢に向かっている時ははつらつとした姿勢になる。心や感情が姿勢及ぼす影響は小さくない。また姿勢が身体の緊張に影響し、新たな痛みを作る事もあるし、心や感情自体が痛みの発生や慢性化に関与している事は数多くの文献が示している。
従って治療者は常に患者の背景にある、社会的適応状態、家庭環境、そして認知の癖などに目を向ける必要がある。それらの中にある諸問題が、大なり小なり症状の発生や慢性化に関与していることは間違いないからである。その事に関わることだが、治療者-患者の関係を良好に保つこと、信頼感を得ることは施術効果にも多大な影響を与える。そこで重視しなければならないのは問診である。
家族構成や就業時間などを聞くことで、その患者が抱えている問題の一端を知る事が出来る。また何気ない会話の中から認知の傾向を見つけだして行く作業も重要である。
ramtha / 2010年3月30日