操体法とは
- 操体法は仙台の医師故橋本敬三先生が、現代西洋医学で治らない患者さんが街の治療師 のもとへ流れて行くのはなぜかということに疑聞を持ち、漢方、民間療法等の研究から ヒントを得て体系化されたもの。
- 他動ではなく自らの動きで自分自身を治すという他に類を見ない自療医学で、副作用がない、痛くない、速効性があるのが特徴で、誰が行っても安全という画期的な療法。
- 操体法は自分自身の動きによって治療出来る療法だが、2人で行うとめざましい効果を 発揮する。
操体法の特徴
1.手の届かない所でも操作できる
骨格の内側の筋、重層筋の下方、内深部に至る筋などは、指圧マッサージの達人でも操作できないが、操体法は連動処理する事によって、それらの筋も操作できる。
2.痛み・不快感が無い
異常のある筋は使用しないので、悪い連動を起こすこともなく、後で悪くなったり変な疲れが出たりしない。
3.速効性がある
直接運動器系に作用し、しかも関連部位全体に及ぶ為すぐに効果が出る。
4.広範囲に奏功する
連動的に効果が及ぶため、時に意外な所に効果が現れることがある。
効果を上げるには
1.気持ちよい動きを感じる
- 患者さんが気持ち良いと感じていそうなポイントを顔の表情や動きから感じとる。痛みの症状が強い場合や、気持ち良さを感じとれない場合は、とにかく痛くない方、不快でない方に動いてもらう。
- 動けば良いというのではなく、力みすぎる動き、無理な動きは必要ない。
- 多くの場合、嫌な感じの動きや、痛みが出る動きの反対方向に気持ちよい動きが存在する。
2.抵抗をうまく使う。
- この抵抗とは、動きを阻止するものではなく、動きを引き出す抵抗の意味。特に腰の連動を引き出す事に留意する。
- 動きに抵抗を加えると、抵抗に逆らう動きが誘導され、特定の部位から他の部位へと連動が始まる。目的の部位に到達する連動が出てきたらよりー層効果が上がる。
- 抵抗は連動を大きく引き出す為のもので、大きな動きの方がより大きな連動が引き出される。
3.一気に脱力をする
- 大きく連動した動きの後、一気に脱力させることで歪みが改善して行く。
- 動きが限界まで近づいたら約3秒間おき、フッと息を吐きながら一気に脱力してもらう。これを3~5回繰り返す。
※3秒と言うのは動きが連動を伴って来るまでに必要な時間。短ければ連動が不十分となり、長すぎると疲労する。
- 脱力したらすぐ次の動作に移るのではなく、一呼吸おいてから次の動作に移る。
※この一呼吸の間に筋紡錘反射がおこり、中枢神経を介して伝達される。神経の伝達速度はシナプスを一つずつ経由して行くのでその時間を確保する。
障害とその見方
1.筋の障害
- 筋肉の緊張あるいはコリがあると、その分だけ筋の収縮力は減殺され動作制限として現れる。
- 収縮する力があっても弛緩する側が充分にできないと動作制限が起こす。※主動筋と拮抗筋の関係・伸筋と屈筋の関係
- また、細胞レベルで身体は不快な動きを制限するために筋力低下を起こすと考えられる。
2.動作分析(動診)
- 自力で動いてもらって快・不快を診る。
- 他力で動かして快・不快を診る。
- 他力の動きにさらに抵抗を加え快・不快を診る。
※前後屈・左右側屈・左右回旋・牽引圧迫
3.全身の相関性、連動性
- 身体は全身が相関性・連動性を持っているので、遠隔の部位から連動して動作制限が起きたり、解除されたりする。
- 腰からの連動
腰に異常がでると状態の左捻り右捻りの動作が不均衡となり、握力、腕力、背筋力、腹筋力なども低下し、全身的な不調をきたす。
- 手指の開き(開角)への影響
指の開く角度は腰が悪いときに低下し、頸腕障害があるときにも低下する。腕や手には触れずに腰の調整をすると指の開きが良くなる。
- 歯の噛み合わせからの連動
歯の噛み合わせが悪いと、筋力や関節の動きに低下がみられる。噛み合わせを矯正する事で改善することもある。また逆に身体のアンバランスの調整でかみ合わせは良くなる。
- 連動関係をみる動診
動作の快・不快ははっきりしないが、ある動きが患部に連動して、愁訴が消失する動きになるかどうかを診ることで最も有効な操体法の連動の起点及び仕方が分かる。
- 連動関係をみる圧診
ある部位を圧迫すると、それに連動して愁訴が消えるかどうかを診る。
4.身体を治す動き
- 快い動き
快い動きを引き出して行くと硬くなった筋肉がフッと弛緩するところがある。そこを捉えて脱力に導く。
- 連動の起点
障害の元になっているところを解放するために、連動となっているところを緊張に導くことがある。しかしこの緊張はかえって快い緊張となる。
5.効果的な操体法
- カエル足
- 膝倒し
- 踏み込み
- つま先挙げ
- 重心のバランス調整