中世ヨーロッパの3大疫病は、ハンセン病とペストと「聖アントニウスの火」だそうです。
「聖アントニウスの火」というのは、痙攣性の症状と壊疽(えそ)を起こした病気で、
中世では医学的な説明がつかなかったの事や症状の激しさから、
悪魔の所行ともみなされ、魔女狩りなどで犠牲になった方も多かったと言います。
当初は四肢に灼けつくような感覚をもたらしたので、「聖なる火」と呼ばれていました。
壊疽性の症状としては、手足の血管を収縮させ、
赤く脹れたり痛んだりした後、重症になると壊疽を起こして炭のように黒くなって崩れ落ち、
患者は四肢を切り落とされたとあります。
痙攣性の症状では脳神経に作用して、幻覚やてんかんを起こさせ、妊婦は死産しました。
ある貴族が、「聖なる火」に侵された息子のために、
難行苦行に耐え、様々な奇跡を起こしたと崇められていた「聖アントニウス」に祈ったところ、
その病気が快癒したことから、「聖アントニウスの火」と呼ばれるようになったそうです。
そこで多くの患者が聖アントニウスにゆかりのある場所へ巡礼したと言います。
後世になりその原因が、ライ麦に寄生する麦角菌などの「麦角アルカロイド」による中毒症だった事が判明しました。
原因が分かっている現代から見ると、中世の大騒動はこっけいにも感じられますが、
現代における、腰痛=ヘルニア説、腰痛=脊柱管狭窄症説、膝痛=軟骨のすり減り説など
筋骨格系疾患を構造の異常ととらえて治療をしている事も、近い将来には
「あんな説が信じられて、まじめにヘルニアの手術や膝関節の手術が行われていたんだな~」
と言われるようになるかもですね(^^ゞ
ramtha / 2007年3月7日