心理学にもいろんな流派や考え方がありますが、私はアドラー心理学の考え方がとても現実的で素人でも分かりやすいと考えています。アドラー心理学は子育ての心理学とも言われますが、子育てや親子関係だけでなく、上司と部下、先生と生徒といったあらゆる人間関係を良好に保つ為のヒントを与えてくれる心理学です。
痛みの発症、慢性化、増強にはその背景に心理的要因があり、ストレスやトラブルの殆どは人間関係にありますので、アドラー心理学を学ぶことは患者さんが抱えている様々な問題に適切なアドバイスができることにつながり、痛み治療の上でもとても重要だと考えています。
劣等性には二つあって①器官劣等性 ②一般的な劣等感。
「器官劣等性」:
身体に劣等な器官があると、単に病気にかかりやすくなるだけでなく、心理的経験にも影響が及ぶはずだとアドラーは考えている。 目や耳が悪い人が他の器官を鋭敏にして補償することはよく知られているし、背が低い人が機知に富んで大業を為すとい言った例を挙げている。
「一般的な劣等感」:
アドラーは劣等感は普遍的なものであると考え「人間であることは、ある劣等感を所有していることを意味している。それがそれ自体を克服するように前進させる為の圧力を加えている」と言っている。そして人生の根本法則は、欠陥や不適切な事を克服する法則であると述べている。 幼児は最も弱い者として世の中に生まれ、身体は未発達であるため、自分の存在を維持するには周りに完全に依存しなければならない。 その為世界についての印象は、自分の弱さや安心できないといった感情と結びついている。子ども時代の病気や事故は弱さが劣等器官となる。
「劣等感はそれ自体は異常な事ではなく、劣等感があるので、人類はあらゆる改善をする事になる」・・・アドラーの言葉
アドラーは子育てに於ける「甘やかし」と「無視」が誤ったライフ・スタイルを生み出す主要な原因だと考えていた。その為子どもの出生順位は、親の対応や子どもの感じ方を左右することになり、出生順位が子どものパーソナリティに大きな影響を与えることを強調している。
【劣等コンプレックス】
アドラーは、自分の人生の問題を解決できるという確信が無い子どもにとって世界は憂うつに見え、その子どもには、臆病、内省的、不信など、劣等感を持った者の特徴が見られだろうと言っている。
前述のように劣等感自体に問題があるわけではないが、劣等感が過剰となりその人のライフ・スタイルを支配するようになると、あまり望ましくないパーソナリティ特性が現れ、このような傾向を「劣等コンプレックス」と言っている。
(望ましくないパーソナリティ特性)
劣等コンプレックスは神経症行動が生じる主な要因の一つで、神経症者は人生の避けられない問題にうまく対処できる能力に欠け、次のような行動を引き起こす。
【優越コンプレックス】
あらゆるパーソナリティの発達には優越への努力が原動力となり必要なものであるが、それが耐え難い劣等コンプレックスを隠すためのテクニックとして過剰となる場合は問題となる。そのような傾向にある人は、人よりも「上」とか「優れている」という、ある偽りの信念を具体化させる。
ramtha / 2011年4月22日