衆議院選挙は午後八時投票終了、同時に開票作業開始となっているが、テレビでは投票終了者に対する所謂出口調査と事前の情勢分析により、選挙管理委員会の公式発表を待たず、当選確実の候補者指名を顔写真入りで次々に放映している。
昔は深夜まで選挙結果放送を楽しんだものだが、今回は放映開始直後の画面で、麻生太郎選挙事務所の当選万歳の風景を見て昨夜は寝床に入った。
今朝の新聞は、ほとんど全紙面が選挙結果の報道である。これを見て私なりに感じたことを書きとめてみる。
① 先日も記したことだが、新聞の選挙予報の正確さを改めて思い知らされたことである。と同時にマスコミの事前予報が、読者の選挙先選択に影響は無いのか気になったことである。
国会議員の選挙は、候補者の人物とその政見を有権者が知悉し、それ以外のものに煩わされることなく投票することが望ましいものとすれば、選挙予報などは有権者の純粋な判断の妨げになるのではと思われる。
候補者の経歴や政見は選挙公報によって知らされてはいるが、あれは候補者自身の自己紹介であり、選挙に不利になるような事は書かれず、中には学歴を詐称するなどの実例もあった。
マスコミは候補者の実像に関する客観的かつ詳細な情報を読者に伝えてもらいたいと思うが、不勉強な私が知らないだけのことかもしれないが、今までそのような記事を見たことがない。できれば事の大小にかかわらず、公式の場における発言や過去の議会における出席状況、さらには主要な議案に対する賛否など掲載して欲しいと思う。地味な仕事で人手のかかることかもしれないが、こうした作業がマスコミの本来の使命と思われるが、いかがなものであろう。
② 今回の選挙では、自民・公明の与党は概ね現状維持、民主党は十一議席増やしたものの前回の激減を多少挽回した程度で、海江田代表が落選したのでは党勢を回復したとは言い難い。次世代、生活の党は惨敗、社民はやっと現状維持と言う中で、共産党の議席が倍増したことが特に目立った現象であった。
共産党の躍進には、政党交付金を受け取らない唯一の政党で、その清廉さが有権者の心に伝わったこともその一因とされるかもしれない。と同時に、派遣社員と言われる非正規労働者の急増など若者の欲求不満の受け皿となったのではないだろうか。
昔、麻生産業(株)の柴田常務が「従業員にまともな生活ができる報酬を与えられない経営者は、経営者としての資格がない」と言われていたが、国の未来を憂慮する企業経営者は、この名言を肝に銘じてもらいたい。
③ 今朝の毎日新聞には、都道府県別の投票率を示し、前回(2012年)と対比している。
これを見ると小選挙区は前回59.32%に対し今回52.67% 、比例区は前回59.31%に対し、今回52.54%といずれも全国平均では7%弱低下している。
前回は民主党政権の迷走に国民の不満が政権交代を求める選挙であったのに対して、今回は安倍政権にさしたる失政もない中での選挙で、緊張感のないことがこの結果を招いたものではあるまいか。これを見ても巨額な選挙費用を使ってまで行わなければならなかったのか改めて首をかしげたくなる。
④ 海江田氏など大物議員の当落も目に付くものがあるが、どうしても納得が行かないのが小渕優子経済通産大臣の立候補と当選である。つい先ごろ政治資金規正法違反で大臣を辞任したばかりというのに、その釈明もないまま再び国会に現れるという厚顔無恥には呆れ果てるばかりである。また彼女を支持している地元有権者の非常識もさることながら、彼女を自民党公認とした自民党幹部なかんずく安倍総理の頭の中はどうなっているのか、これまた呆れ果ててしまう。
テレビの司会者として活躍していたみのもんたは息子の不始末で出演辞退を余儀なくされ、人気タレントの島田紳助も暴力団と過去に交際があったなどという噂が表に出ればたちまち出演番組から降ろされるというのが今日の社会常識ではないか。政治家の不祥事だけはまかり通るというのはなぜだろう。不思議でならない。
安倍総理が小渕氏の不祥事を無視し、自民党所属の国会議員として容認しているのは、安倍さん自身も同様な不祥事を抱えているのではないかと勘ぐられても仕方がない。自らの脛に傷がないのであれば、即刻党員資格を剥奪すべきではないか。
(平成二十六年十二月十五日)
ramtha / 2015年5月27日