このところ連日安倍総理批判をしてきたが、マスコミの伝えるところでは支持率はまだ4割近くあるようである。その要因は、彼の唱える「戦後レジームの脱却」に共感する国民が少なからずいることにあるのではないかと思われる。
顧みれば終戦後七十年、中国や韓国から戦争責任を追及され続け、その間、河野談話、村山談話など度々謝罪をさせられ、経済支援をしてきたのに、事あるごと歴史認識云々とイチャモンをつけられ、もういい加減にしてほしいというのが、大多数の日本国民の本音ではあるまいか。
同じ敗戦国でありながら、ドイツは今やEU(欧州連合)のリーダーとして、かつての戦勝国のロシアとも対抗して堂々たる活躍をしている。どうしてだろう。
考えてみると、ドイツは先の戦争を引き起こした責任はナチスにあったとして、その生き残り幹部を、新生ドイツが遠くは南米まで追跡逮捕して処刑している。
これに対して、日本では戦勝国アメリカの指導する極東国際軍事裁判(俗に東京裁判という)で、東條英樹、廣田弘毅ら戦時中の総理大臣など数名をA級戦争犯罪人として処刑する措置が行われ、日本人による戦争責任者の摘発並びに責任追及は行われていない。
このことが、ドイツは自ら戦争責任をとっているが、日本は責任を取っていないとする近隣諸国の日本批判の論拠となっているものと思われる。
さらに戦死者など国事に殉死した霊を祀る靖国神社にA級戦犯を合祀されていることもこの問題に影響を与えている。
どういう経緯(いきさつ)があって合祀されたのか知らないが、外国人から見れば、東京裁判で犯罪者とされた者を、靖国神社に合祀するということは、東京裁判の判決を否定するもので、納得しがたいことであろう。東京裁判の正当性に疑問があるとしても、その判決に従わざるを得なかったのだから、今更これを覆すわけにはいかない。
最近では遺族会代表の古賀誠氏が戦犯者分祀を提言しているようだが、まだ実現していない。大多数の国民が今の状態を黙認しているのは、この問題に無関心であることと、日本では古来死んでしまえば敵も味方もすべて神仏となり、等しく祀る風習があることも、その原因となっているのではないかと思われる。
欧米ではどうなっているか知らないが、中国では親の敵はその墓を暴(あば)いて鞭打ち復讐したなどという史実が伝えられている。こうした国民性の違いも、この問題に対する見解の相違の要因となっているのかも知れない。
いずれにしても中国や韓国の態度を見ると、日本の戦争責任を問う歴史問題は、これを一挙に払拭する方法は当面ないと言わざるを得ない。
日本人にとって「戦後レジームの脱却」は最大の悲願であり、できれば一日も早く達成し子孫の負担を無くしておきたい課題である。
それには安倍総理の集団的自衛権の適用範囲の拡大や平和憲法改正などではなく、戦後七十年間、世界各地で紛争が繰り返されてきた中で、わが国は平和憲法を守り一度も戦争することなく、世界の平和と発展に貢献してきたことが、世界に誇る貴重な財産である。この何物にも代えがたい財産を放棄することなく今後もこの歩みを続け、世界中の人々から、日本は平和と経済文化の発展に、最も頼りになる国という信頼を築くことが、最善の道と私は考えているが、如何なものであろう。賢明な諸兄のご批判を伺いたいと思っている。
(平成二十七年二月二十七日)
ramtha / 2015年6月30日