筋筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント施術 ラムサグループ

「秋茄子嫁に食わすな」

必要に迫られて広辞苑を広げていたら、昔耳にしたことのある「秋茄子嫁に食わすな」という言い伝えに久しぶりに出会った。

この慣用句を私は、長年「秋茄子は格別美味しいものだから、憎い嫁には食わせるな」という姑の嫁いびりを象徴しているものと思い込んでいた。
ところが広辞苑の説明を見ると、次のように記されている。

”「秋茄子は早酒(わささ)粕につきまぜて棚に置くとも嫁(『嫁が君』の略、即ち鼠)に食わすな」の和歌に基づくという。後世、姑に対する嫁と解して、秋茄子は「体を冷やすから」あるいは「種少なくて子種がないと困るから」大事な嫁に食わすな、また逆に「種子が多くて妊みやすいから」あるいは「こんなうまいのだから」憎い嫁に食わすな、などの諸解を生じた。最後の解が普通行われる”

これを見ると、私の記憶も当たらずと雖も遠からずというところでまずは安心した。

しかしこれに限らず、言い伝えなどというものは、親から子へ、子から孫と口伝えによって伝承されて行くもので、時に誤り伝えられているものも少なくないのかも知れない。

私が耳にした昭和初期は、三世代同居の家も少なからずあったし、一家を支配する口やかましい姑もまだ健在であったが、戦後の経済成長とともに核家族が一般的になり、一家の財布も息子の嫁が握り、嫁姑の力関係が逆転した今日では、この言葉も死語となってしまったのかも知れない。

(平成二十七年三月二十八日)

ramtha / 2015年7月3日