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「緊縮」

毎日新聞の「コラム発信箱」に論説委員福本容子氏が「緊縮」と題する一文を掲げている。

ギリシャの財政破綻がEUを揺るがしているが、日本も消費税を八%から十%に引き上げることになっており、政府の財政も国民の家計も緊縮を余儀なくされているが、その是非については、賛否両論が鎬(しのぎ)を削っている有様である。

福本氏のコラムによれば、間もなく議会総選挙が行われるイギリスでも、「緊縮」は連日登場する流行語となっているらしい。キャメロン党首率いる保守党が、緊縮財政を掲げて政権を取り、何十年ぶりという大規模な歳出削減を断行し、日本の消費税にあたる付加価値税も十七・五%から二十%に引き上げた。

お陰で財政赤字(国内総生産比)は半減した。しかし国民には厳しい歳出削減で、当然のことながら高齢者などからブーイングを受けている。それでも、まだ保守党は緊縮路線を続けると言い、批判する主な野党も、ゆっくりした速度ではあるが、方向は緊縮である。世論調査でも「税率も社会保障の支出も今の水準で良い」と答えた人が五二%と最多であったという。

財政の安心度の目安である国債格付けは、イギリスが最高位から二番目で、日本は上から四~六番目とのことである。

イギリス人の生活水準が、日本よりはるかに高く、その生活にそれほどの余裕があるとは考えられないのに、どうしてだろう。

この福本氏の見解に従えば、イギリス国民は国家財政の現実を冷静に理解する大人で、日本国民は未だ大道にひっくり返って駄々をこねる幼児のように見えるがどうだろう。

イギリス議会の総選挙が五月七日に行われるようだが、果たしてイギリス国民はどのような選択をするのか見ものである。

(平成二十七年五月二日)

ramtha / 2015年7月25日