このところ国会では、安倍総理の掲げる集団的安全保障を巡る論議が連日行われている。これに対して、毎日新聞の昨日の投書欄「みんなの広場」に「首相は詭弁をやめよ」と言う次の一文が掲載されていた。戦前生き残り組の一人として同感するところがあったので転記する。
先日の党首討論で安倍晋三首相は安全保障関連法案について「(もし自衛隊による他国軍の後方支援で)戦闘状態に陥ったらすぐに一時休止、または待避する」旨の回答をした。私はこれは詭弁だと考える。
後方支援といってもいざ戦闘状態になった時に、日本だけお国事情を説明し「私は下がります」とは言えるわけがない。
敵から問答無用で攻められるのはもちろん、味方からも「敵前逃亡者」としてさげすまれ、結局はどちらからも笑い者にされるのがおちだろう。政府もどこかに、なし崩し的に、戦闘行為に参加する抜け道を作っているはずである。今後野党にはその辺の真偽をぜひ明らかにしていただきたい。また首相も詭弁はやめ、この法案の必要性を正直に分かりやすく訴えてほしい。そしてもちろん、それらの熟議を踏まえ、今後の日本の安全保障のあり方を決断するのは私たち一人一人りであることも忘れてはいけない。その覚悟こそ重要である。
誠に党首討論の核心を衝いた見解であると敬服の他は無い。これに敢えて蛇足を付け加えるとすれば、この政府案に反対の野党も、その理由を率直に説明すべきものと考える。
例えば戦後七十年、戦争放棄の平和憲法の下で、今日まで続けてきた世界の歴史にもない平和主義を今後も貫き、そのため理不尽な他国の侵略を招き国家の存立が失われようとも、人類の理想とすべき平和国家のあり方を示し、戦争放棄の信条に殉ずると言うような極論であるにせよ、その覚悟を国民の前に明らかにすべきものと考えるが、如何なものであろう。賢明な皆さんのお考えを承りたいものである。
(平成二十七年五月二十八日)
ramtha / 2015年11月18日