老化に伴って耳が遠くなった私だが、最近耳障りに感じる言葉に、安倍総理の「積極的平和主義」がある。
安倍さんはよほどこの「積極的平和主義」という言葉がお好きなようで、至る所で毎日のように使用している。
単なる「平和主義」とどう違うのだろう。そこで広辞苑を開いてみたが、「積極的」は見出し語として挙げられているが、「積極的平和主義」は見当たらない。
これを見ると、安倍さんが新たに作った言葉のようである。仕方がないので「積極」の説明を見る。そこでは「対象に対して進んで働きかけること。」「静に対して動」「陰に対して陽」「その他、肯定・進取・能動などの意を表す語。」としている。そもそも英語のポジティブの翻訳語で、その意味を表す大和言葉はないようである。
しかし、広辞苑の説明を見る限り明るいプラスのイメージである。それが「積極的平和主義」となると、どうして耳障りになるのだろう。考えてみると安倍さんがこだわる集団的自衛権と繋がって受け止められるからではないだろうか。
毎日のテレビで繰り返し聞かされる、化粧品や健康食品のコマーシャルは、度々聞かされるほど、その効果が疑わしく感じられて来る。
同様に、国民の殆どが平和を望んでいるのに、安倍さんの「積極的平和主義」という言葉をしばしば聞かされると、中身は本当に「平和」なのだろうか、違う物を押し売りされているのではと感じられ、それが耳障りとなっているのに違いない。
近年南シナ海などでの中国の軍事的脅威が増していることは事実であり、安倍さんが日本の安全保障について真剣に憂慮しているだろうとは推察できるし、心ある国民も同様な思いを持っているに違いない。
とすれば、安倍さんは「積極的平和主義」などと回りくどい言葉に頼らず、率直にその憂慮するところを訴え、国民の理解と賛同を求めるべきだと考える。当面そうした発言が国政選挙で、多少不利な結果を招くとしても、それが国政に責任を持つ政治家としての王道ではないか。
(平成二十七年六月十六日)
ramtha / 2015年12月2日