もう二年ぐらいになろうか、3Dプリンターで銃を作った男が銃刀法違反で逮捕された事件があった。プリンターとは印刷機のはずだが、それで銃が作れるとは、疑問になった。よろず不勉強な私には「3D」なるものが分からない。そこで手元の広辞苑を広げてみた。
そこには、「3D」のDはDimension(次元)の略とあるが、平成二十年出版のものだから、「3Dプリンター」は掲載されていない。しかし、「3D映画」といえば、立体眼鏡で見れば、画面が立体的に見える映画をいう。とすれば、通常のプリンターでは平面の画像しか作れないが、3Dプリンターでは三次元の立体模型が作られるということだろう。
衰えた老骨の頭を絞りそんなことを考えていたら、今日の毎日新聞に、米カーネギー国際平和財団研究員のトリスタンーボルブ氏の「3Dプリンター脅威に」と題する次のようなエッセイが掲載されていた。
「3D(三次元)プリンター」の普及が、核不拡散の新たな脅威になり得る。国際社会は対応策に着手する必要がある。
3Dプリンターはモノづくりを根本から変えようとしている。機械製品は金属などの素材を成型したり、削り出したりして作られて来たが、3Dプリンターは素材の層を積み重ねて立体に仕立ててゆく。歴史的にみても全く新しい手法だ。何台もの工作機械が必要だった複雑な部品が、3Dプリンターで作れてしまう。デジタル情報さえ入力すれば、熟練を要するような精巧な部品を作れる特性もある。核兵器に使われる濃縮ウランの製造に必要な機器は、特殊な鋼鉄や炭素繊維で作られた数千の部品を、精密に組み立てて作られる。ジグソーパズルのようなものであり、この技術的な障害が核兵器開発を目指す国やテロリストグループを阻んできた。
3Dプリンターだけで核兵器を製造できるようになるわけではないが、パズルのピースを全て作ることはできる。米ゼネラルーエレクトリック(GE)はジェットエンジンのチタン製部品を3Dプリンターで作っており、防衛産業も活用を姶めた。今後、原子力産業でも使用が広がり、部品製造や組み立てに必要な情報がデジタル化されれば、北朝鮮のような国がサイバー攻撃で情報を収集し、核開発を前進させる懸念が高まる。
注力すべきはデジタル情報の保全だ。3Dプリンターがあっても、デジタル情報が入手できなければ、核兵器開発は難しいからだ。国際社会は核不拡散とサイバーセキュリティーの取り組みを融合させる必要がある。日本は製造業大国であり、防衛・原子力産業も抱える。米独韓と並び3Dプリンターの導入も進んでいる。新たな脅威に対応するには、日本の協力が不可欠だ。政府と業界の連携にたけた日本は、米国とともに他国の手本になれるだろう。
なお、私のような老骨のために次ぎのような説明もつけられていた。
3Dプリンター:デジタル化された設計図を基に、樹脂や金属粉の層を積み重ね、立体物を造形できる装置。通常のプリンターが平面(二次元)に印刷するのに対し、二次元の層を何度も重ねて立体物(三次元=3D)を作る。1990(平成二)年代に米企業が製品化した。近年の価格低下で、試作品や建設模型などの用途で普及が始まり、家庭用モデルも販売されている。
以上の記事で3Dプリンターの概略は理解できたが、実物の写真はつけられてないので、分からない。家庭用モデルも販売されているようだが、高価なものかどうか。
家庭用モデルといっても、ピンからキリまであるのかも知れない。隠居の小遣で買えるものなら、一度手にとってみたいものである。
ramtha / 2016年5月21日