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四月十五日 「四万光年先への宇宙船の旅」

仕事から離れて三十年近くも隠居暮らしをしていると、同世代の知人の多くは鬼籍に入り音信も殆ど絶えた。ことに足腰の痛みで出歩くことが無くなってからは、いよいよ浮き世離れした心境になった気がしている。ところが、今日の毎日新聞の「余録」には、とてつもなくスケールの大きな話題が取り上げられていた。宇宙科学のことはさっぱり分からないながら、自分が寿命のある身であることも忘れるような気分にさせられたので書き留めておく。

宇宙は一三八億年前のビ″グバンで誕生したという説には、宇宙には始まりも終わりもないとする説が長らく対抗した。だが後者では説明のつかないことがある。それは人類が他の知的生命の存在を示すものに出合ってない事実である。
もし宇宙が無限の昔からあったのなら、宇宙探査をする知的生命も数限りなく生まれているはずだ。ならば太陽系にも人工物や電波が飛び交っていなければおかしい。人類の孤独こそが宇宙に始まりがあった証拠だという。

もちろん一三八億年の時間も多くの知的生命を生んでいるはずだが、互いに接触するには途方もない距離で隔てられている。太陽系にもっとも近い恒星、ケンタウルス座アルファ星でもその間の距離は四・三光年、今の人類の技術では到達には三万年もかかるという。

その恒星系に光速の五分のIという超高速で飛ぶ小型探査機の船団を約二十年で到達させるという驚きの計画が発表された。宇宙物理学者のホーキング博士が、フェイスブック創業者のサッカーパーク氏らの協力を得て推進する人類初の太陽系外の惑星の生命探査である。

「ナノクラフト」と呼ばれる探査機は一辺数mの四角形の帆に地上からのレーザー光を受けて推力を得る。カメラや通信・航法機器などは切手大のチップに搭載するという。まさに恒星聞の海を進むミニ帆船で、これが宇宙の大航海時代のさきがけとなるだろうか。

「宇宙の知的生命は知的すぎて地球などに来る気にならないんだ」。人類の孤独をSF作家クラークは皮肉った。何十年か後、アルファ星の惑星住民が探査機を見つけたらどんな論議をするだろうか。

ramtha / 2016年6月28日