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十一月六日「抽象と具体」

漢字熟語に、相対する一組の漢字熟語に「抽象と具体」がある。広辞苑の説明によると、「抽象」は、英語のアブストラクト(abstract)の翻訳語で、適用・抜粋などとあるが、これだけでは、分かりづらい。

そこで、「具体的」を見てみる。

①形をそなえ、存在が感知できるさま。一般的という意味での抽象的に対し、実態的・個別的なさま。具象的。

②事物を、あらゆる面から、他物との関連を含めて十分にとらえることについていう語』。

これによると、具体的は、その物の形が目に見えることで、抽象的は目に見えない観念上のことであるらしい。漢字はもともと物の形を簡略化した象形文字という。しかしながら、往復・移動などの動作や、愛憎’思考などの精神的事象は、形にすることはできない。

そこで古代の中国人は、既存の象形文字を組み合わせて、新しい字を作り、対応することとした。

意味を表わす漢字を二つ以上組み合わせた会意文字と、そのものが属する世界を示す意符と、その言葉の発音を表わす音符とを組み合わせた形声文字である。

前者は、筋(竹+肋=あばら骨)・脛(月=肉+莖=まっすぐ立つ)の類。後者は沖(水+中)・拇(才=手+母)などである。

これを見ると、中国人はものを理解するのに、抽象的なものでも、形にして理解しようとする傾向があるように見受けられる。

また、漢字文化は、周辺の文盲な国々に広がり、一大漢字文化圏を形成して今日に至っている。

もっぱら中国文化を取り入れて発達して来た日本文化も、その影響を受けているから、同様の傾向があると思われる。

これに対して、欧米の言葉は、もともとは漢字と同じように、物の形を簡略化した象形文字であったと思われるが、十世紀後半の民族大移動で、さまざまな民族が入り混じり、生活、習慣などお互いに影響を受けたに違いない。

それは、異質の文化を取り入れるにとによって自分の文化を豊かにすると同時に、従来の固有の文化の良さを失う危機感を抱かせたに違いない。

それが、欧州各国の言葉の小さなスペルの違いにも拘(こだわ)って居るように思われるが、どうだろう。

ramtha / 2018年3月31日