食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
安部 司
11月20日に全国的に有名な嘉穂劇場で、食や心をテーマとしたイベントが行われました。
その中で「生きることは食べること」というテーマで、安部司先生の講演会がありました。私は研修日と重なった為に参加出来ませんでしたが、ワークの生徒さん達が何人か参加されました。生徒さん達から講演の内容を聞いて興味を持ち、早速安部先生の本を取り寄せて読んでみました。
私もかつては流通業界で勤めていて、商品開発をしていた経験から、少しは食品の裏側の事は知っているつもりでしたが、この本を読んで改めて現代の食文化や社会的価値観について考えさせられました。消費者がに迎合したことと、メーカー側の経済優先の風潮から、とても食品とは呼べないような商品が次から次へと生まれて来ています。
私たちは一人平均一日あたり84種類の添加物を摂っていると推測されていますし、食品によっては1つで20種類以上の添加物が使われています。しかしそれらの添加物は毒性検査が行われて合格したものが使われていますが、それらを複合的に摂取した場合の危険性や、催奇形性や発ガン性は検査されていません。また、この影響が身体に現れて来るには何年もしくは何十年とかかるでしょうし、遺伝的な影響として子孫に現れて来るには膨大な時間の経過がないと分かりません。
「安い」「簡単」「便利」の裏側にはそれなりの理由があるわけで、保存料も着色料も化学調味料も使わず、昔のように手間暇かけて作るとなるとそれなりにお高いものになりますし、使い勝手も悪くなる場合もあります。しかし私たちが少々高くても、少々使い勝手が悪くても、手間暇かけて作られたものを求めて行けば、メーカー側も小売り側もそのような商品を取り扱うようになります。要は求める側がいるから、添加物だらけの商品が作られるわけです。そこには私たちの意識改革が必要です。
しかし私たちは「PH調整剤」「乳化剤」「増粘多糖類」などと表示してあっても、それが何を示しているのか分からない事と、表示制度の陰では同じ目的で使われる添加物は何種類使っていても、一括表示で済まされますし、お弁当屋さんやスーパーの総菜、レストランの食材のように、そこで調理して販売されるものは、どれだけ添加物が使われていても表示の義務がないなど、もっと情報公開がなされる事を求めて行く必要もあります。
皆さんもこの本をご一読頂き、「食」の世界の事だけでなく、私たちの社会、文化、価値観などにも「これで良いのだろうか・・・」という目を向けて頂きたいと思います。
ramtha / 2006年1月13日